1918年、オルトフォンはデンマーク・コペンハーゲンで誕生しました。
オルトフォンの歴史は、1918年にA.ピーターセンとA.ポールセンが創立したエレクトリカル・フォノフィルム・カンパニーにその源を発します。二人は、この会社から行った史上初の本格的な音の出る映画システム“SYSTEM PETERSEN OG POULSEN”の発表で世界に名を馳せました。エレクトリカル・フォノフィルム・カンパニーは、後にフォノフィルム・インダストリーA/Sと改称され、その傘下に、1951年オルトフォンA/Sが設立されました。
「オルトフォン」の名称自体は、既にこの以前からピックアップ製品等に対するブランド名として使用されています。「オルトフォン」は、ギリシャ語の「真正な」「正統な」を意味する“orto”と、同じく「音」を意味する“fon”の2つを組み合わせた造語です。オルトフォンはその名の示すとおり、終始「アナログサウンド」に関わって歩みを進めてきました。そして、自ら標語として掲げる“ACCURACY IN SOUND”の実現を一貫して追求し続けています。
全てのレコードリスナーに向けた、軽質量な丸針のMM型カートリッジ
独特なデザイン形状をもつオルトフォンのOMシリーズは、1979年に発表されたヘッドシェル一体型のConcordeシリーズ、またヘッドシェルに取付可能なLMシリーズをその源流としています。これらの製品は、当時多くのカートリッジメーカーが熱心に取り組んでいた軽質量(ローマス)・軽針圧化の流れの中で誕生したもので、中でも本体自重2.6gという超軽量ボディを実現したLMシリーズはその決定打となりました。同時期に軽質量といわれていた製品の多くは自重5g程度であったため、LMシリーズは当時の「ローマス」の理想を具現化させたカートリッジであるともいえます。
その後、MC型の軽質量モデルMC200 Universalの開発を契機として誕生したOMシリーズのハウジングは、LMシリーズよりもさらに軽量な自重2.5gのボディに、挿抜可能な2.5gの真鍮製エクストラ・ウェイト(後述)を取り付けることでカートリッジ自重を5gとし、軽質量なカートリッジ専用ではないトーンアームへの汎用性にも配慮しています。
このようなローマス・カートリッジの系譜を最も色濃く受け継いだMM型カートリッジのOM 5シリーズは、「Super」の名を冠したSuper OM 5E(楕円針)を筆頭とし、シリーズ内では同モデルにのみコスト度外視のハイグレードなハウジング素材や磁気回路を用いています。その一方で、基本的な設計思想を通底させることで性能を保持しつつ、コストパフォーマンスに優れたエントリーモデルのOM 5E(楕円針)、OM 5S(丸針)とあわせて3モデルのラインナップを構成しています。本シリーズは、Hi-Fiを志向するオーディオファイルの皆様はもちろん、ヴァイナル・レコードを愛してやまないレコードリスナーの皆様が音楽だけに没入するためのカートリッジとしても最適なパフォーマンスを誇ります。
商品説明
本機の出力電圧は4mVで、スタイラスチップには接合式楕円針を用いています。丸針モデルのOM 5Sと比較するとレコード盤の音溝表面に刻まれた凹凸状の音声信号をより細かくピックアップ(拾い上げ)することを可能とし、高音域の再生能力向上と歪みの低減を実現しています。そのため、丸針モデルのOM 5Sに比べワイドレンジでクリアな音色となる傾向にあります。Ⅰ.軽質量(ローマス)、かつ軽針圧な正統派のMM型
OM 5シリーズは、軽質量・軽針圧のカートリッジが主流であった時代に原型モデルの設計が行われました。そのためカートリッジ自重5g/適正針圧1.75gという、現代では珍しい仕様のカートリッジとなっています。そのため、このようなローマス仕様のカートリッジとの組み合わせを前提とした往年のトーンアームにも問題なく取り付けることが可能です。また、自重5gという仕様と高剛性を両立させるため、ハウジングには樹脂素材を採用。本シリーズにとっての絶対条件である軽質量を維持しつつ、同時に不要共振も抑えています。
Ⅱ.針先方向の実効質量を最小限とし、トレース能力向上を目指した独特なデザイン
OM 5シリーズのカートリッジは、ヘッドシェルに接する天面部分(後述)と磁気回路(発電機構)が収められたカートリッジ本体部分、その双方を結ぶ支柱部分の三部分から成り立っています。カートリッジ本体の内部に収められた磁気回路はオルトフォンが自社で開発した独自のもので、発電用のコイルとポールピースがハウジングの四辺に配置され、その対角線が交わる中心にカンチレバー後端のマグネットが位置する構造となっています。
また、この細長い磁気回路を搭載しているハウジングは針先方向に向かって細くなっており、シリーズ全体に共通するプロダクトデザインとなっています。オルトフォンのシンボルでもあるConcordeシリーズと設計思想を通底させたこのデザインは、単に外観上の美しさだけではなく、先端方向に向けてハウジングを細くし、極限まで無駄を省いてレコード盤をトレースした際に針先側の実効質量を小さく(軽く)することで、トレース能力の向上を狙っています。
Ⅲ.トライアングル形状のカートリッジ天面と、様々なネジに対応した貫通型スリット
本シリーズの天面部分は、ハウジングの不要共振を抑えつつ質量を小さく(軽く)するためにトライアングル形状とし、その中心部分には真鍮製のエクストラ・ウェイトが埋め込まれています。そして天面の両サイドには取付ネジを通すためのU字型貫通式スリットが設けられているため様々な直径のネジが使用可能であり、ネジを下方から通してカートリッジを固定するタイプのヘッドシェルにも対応しています。
>> 送料・手数料についての詳細はこちら Blackのサウンドコンセプトはシリーズ内のフラッグシップを現わすカラー。音源に対し高い忠実度をもち(Hi-Fi)、極めてクリアで高解像度なサウンド
仕様
出力電圧 (1kHz, 5cm/sec.): 4mVチャンネルバランス (1kHz): 2.0dB
チャンネルセパレーション (1kHz): 22dB
チャンネルセパレーション (15kHz): 15dB
周波数特性 (20Hz-20,000Hz): +/-3dB
トラッキングアビリティー(315Hz、適正針圧下): 60μm
水平コンプライアンス: 20μm/mN
スタイラスタイプ: Spherical
スタイラスチップ半径: r/R 8/18μm
カンチレバー素材: アルミニウム
適正針圧: 1.75g
針圧範囲: 1.5-2.0g
トラッキング角度: 20°
内部インピーダンス: 750Ω
内部インダクタンス: 450mH
推奨負荷インピーダンス: 47kΩ
推奨負荷容量値: 200-500pF
自重: 5g
対応交換針:Stylus 5S(JAN:5705796013856)/Stylus 5E(JAN:5705796130027)