MC Head Amplifierの集大成LIRICO(リーリコ)
フィデリックス中川伸氏の自信作
フィデリックスは1976年にMCヘッドアンプLN-1でスタートしました。これは入力換算雑音電圧が-157dBVという衝撃的な少なさでした。空芯MC型はデリケートなニュアンスまでをも再現するのですが、出力が低いので、この良さを生かしきるには、ここまでノイズを下げないと元気不足になりがちです。さらにヘッドアンプとイコライザー間に電源ノイズが混入するのを防ぐべく、バッテリー式にしたものです。その後、MC用機器としてはLN-2、LZ-12MC、MCR-38、LEGGIERO、と続きました。今回、MCヘッドアンプとしての集大成となるのがこのLIRICOで、長い経験で得たノーハウが投入されております。
商品説明
1)現行製品では世界最高レベルの超ローノイズとなる-156dBV(RIAA+IHF-A by Average Response)、等価雑音抵抗6Ω、入力換算雑音密度0.32nV/√Hz@1kHzは確かなノイズ理論に裏打ちされての達成。2)オールJFETでGS Direct方式による約26dBの正相増幅。微少信号はデリケートなので、出来るだけ速やかに増幅素子へ伝達せねばなりません。カップリングコンデンサーや抵抗を介在することなくGateとSourceに直接伝えるのがこのGS Direct方式です。使用FETは性能的にも音質的にも定評のある貴重な東芝製超ローノイズ品(廃品種)を使用。ノイズやゲインや最低動作電圧の左右差を無くすため、デバイスは厳密に選別。結果、使えるものは50%、別なあるものは10%というシビアな基準です(ここで使わなかったものは別機種で使用)。
3)入力インピーダンスはMCR-38やLEGGIEROで大好評なギガオーム(GΩ)受けですが、装置との相性や好みによって一般的な330Ωも底のディップスイッチの1番と3番をONにすることで選択可能。ちなみに2番スイッチは左右のアースの連結で、支障がない限りOFFにします。
4)ニッケル水素の006P型充電池を6個を使い、充電器は1個ですが、動作時はダイオードにより左右のアースまでもが完全独立となる独自構成。また、充電器は両切りスイッチを使うことで動作時は電源ラインからのノイズを完全にシャットアウト。満充電で約20時間使用可能です。
5)JFET、PRP製抵抗、PPSコンデンサー、シャーシなど主要パーツは非磁性。
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仕様
出力インピーダンス 1.8kΩ入力インピーダンス 1,000MΩ、330Ω切り替え
歪率 定格入力の10倍における2.5mV入力時で0.3%
周波数特性 3Hz~700kHz -3dB(47kOhmと100pF負荷)
入力換算雑音電圧 -156dBV
バッテリー ニッケル水素006P(8.4V×6個)
本体サイズ 120W×200D×50H mm(スイッチ、端子部含まず)
質量 885g
■使用方法
先ずは本体の電源スイッチを下にして付属のテーブルタップを使い充電器を接続してテーブルタップの電源を入れると本体のLEDが赤く点灯し、これが充電中のサインです。充電が進むとやがてLEDは暗くなり、満充電に近い状態となりますが、過充電にはならない設計です。次は使い方です。充電器の電源を切ると、電源ラインとは完全に分離され、電源ノイズの混入が無くなります。聴くには本体の電源スイッチを上にしますが、この時、ポップノイズが出るので、メインボリュームは必ず絞っておきます。
低域特性は理論上は伸ばした方が良いのですが、現実的には伸ばし過ぎると、トーンアームとカートリッジの低域共振の影響を受け、むしろ悪くなることすらあるので、経験上から適度な値に選んでいます。
バッテリーは消耗品なので、いずれは劣化します。その場合でもご自身で交換可能ですが、6個同時で、しかもニッケル水素電池の8.4Vタイプであって7.2Vタイプは使用できません。
本ヘッドアンプは磁性体から生じるバルクハウゼンノイズがありません。そのため繊細な表情までをも再生すると同時に、広大な臨場感が得られます。MCトランスは間接音を抑える傾向があり、それによって直接音に近づいたかの様な、時として効果的な作用をする事もありますが、LIRICOは忠実性を追求し、MC カートリッジの理想のステップアップを実現しました。
LIRICO リーリコはイタリア語で叙情的(じょじょうてき)という意味です。パワフルで元気な表現は当然として、デリケートで深い心情までをも目指しての命名です。